あの三人にはたくさんの優しさをもらった。
あたしの傷を癒してくれた。
あたしを救ってくれた。
代わりに、あたしは彼等に何かしてあげられる事があったのだろうか。
・・・あたしは、彼等三人に何もしてあげられなかった。
戦 争 の 無 い 世 界 で
「!てめっ、また本持って来るの忘れただろ!!」
「ご、ごめんってば!悪気はこれっぽっちも無かったの!!」
「んなもんあったら今頃てめーはボコボコだっ!!」
「ひー!!ごめん!!」
ドタバタと激しい音を立てて攻防戦を繰り広げているあたしとオルガ。
その内アズラエルさんから苦情が来そうだと思いながらも、目の前で怒り狂っているオルガから身を守るのに必死だった。
「・・・二人とも、五月蝿い」
「シャニ!!ああ、そんなとこで音楽聴いてるんならあたしを助けて!じゃないとオルガに襲われてしまうわ!」
「誰がてめーなんか襲うかよ!良いから本返せ!!」
「だ、だってあれまだ読んでないんだもん!返せる訳ないじゃんか!!」
「てめーはいい加減本読むの遅ぇーんだよ!だったら借りるな!!」
「やだー!オルガが楽しそうに読んでたらあたしだって読みたくなるじゃん!」
「だったらさっさと読みやがれ!!」
「そう言えば、僕から借りたゲームまだ持ってるでしょ」
「・・・俺のMDも」
「ほら見ろ!!こんだけ返してない物があって、信用出来るかよ!!」
部屋にある布団やクッションをぼふぼふとあたしに投げつけてくるオルガ。
あ、有り得ないよこいつ!仮にも女の子に物を投げつけるか、普通!?
こいつ、紳士失格だ!!
そりゃあ、事の原因はあたしだ。あたしが悪いと思うよ、八割方。
以前オルガがデッキで本を読んでいて楽しそうだったから、あー、あたしも読みたいなーと思うのが人間の性だ。
借りたのは良いものの、あたしは途轍もなく本を読むのが遅かった。
だからオルガに怒られた。
それで言い返したらもっと怒った。
確かに、これはあたしが悪い。
だから謝ろうと思った。
「・・・ごめん」
すると、さっきまで怒り狂っていたオルガの表情が変わった。
なんて言うか。
とても言葉じゃ表現出来ないような表情。
そして、言われた。
「・・・気持ち悪い」
次の瞬間、あたしはオルガの顔を思いっきりグーで殴った。
無意識に。おお、凄い凄い。
あたしは目に涙を溜めながら、三人の部屋を走って出て行った。
後ろでオルガが、おい、ちょっと待てよ!と言ってあたしを呼び止める声がしたけど、無視して自分の部屋へ戻って行った。
廊下を無重力を利用してふわふわと浮きながら部屋に戻っていると、士官とぶつかった。
「どうしたんだ、お前」と言われたけど、あたしは泣き顔を見られるのが恥ずかしくて何も言わずにそっぽを向いた。
オルガの馬鹿やろう。
せっかく謝ったのに、あの態度は何さ。
気持ち悪い!?ああそうですか、気持ち悪いんですか!!
珍しく謝ったあたしを見て気持ち悪いですか!!
・・・結構、ショックだった。
だって、あのオルガの顔はマジだった。
オルガだって普段あんな顔はしない。
きっと、気持ち悪くて仕方がなかったからあんな顔をしたんだろう。
あたしが悪いんですか?これはあたしが悪いんですか??
「う・・・、ひっぐ、オルガの馬鹿ぁ・・・」
プシューという間抜けな音と共に、あたしは自分の部屋へ入った。
机の上を見てみると、オルガから借りていた本、クロトのゲーム、シャニのMD。
あの三人から借りた物が散らばっていた。
オルガの本をぱら・・・と捲ってみると、半分を過ぎた所で栞が挟まっている。
クロトのゲームは、これは多分クリアしていないだろう。
シャニのMDは借りたまま、まだ聴いていない。
よく思ったら、あたしも借り癖が悪かった。オルガが怒るのも仕方ない。
今度会ったら、気持ち悪いと言われてももう一度謝ろう。
泣き疲れたのでベッドにダイブした。
夕食の時間まで寝ようと、シャニに借りたMDを無機質な機械の箱に入れてリモコンのボタンを押す。
デッキから聞こえてくる音楽はシャニの好きなデスメタル系の曲で、正直あたしにはよく分からなかった。
その曲をBGMに、あたしはそれから暫く心地良い眠りについた。
自分の部屋のドアをノックする音が聞こえたので、目が覚めた。
もう夕食の時間か?と思って時計を見ると、あれから結構時間が経っている事に気が付く。
「・・・誰?」
「俺」
「あ、シャニ」
ドアの向こうに立っているのがシャニだと分かったので、あたしはロックを外した。
多分それがオルガだったら、一生外さないと思う。
いや、謝ろうと決めたんだけど、いざってなると出来ないもんだからさ。
あたしの変なプライド。
「どうしたの?」
「もうそろそろ、夕食だけど」
「あ、うん、ちょっと待って。・・・あの、今流してるの、シャニのMDなの。もうちょっと借りてても良い?」
「別に。俺はオルガと違うから、そんなに怒らないよ」
無愛想ながらも優しいシャニにあたしは、ありがとう、と小さく呟いた。
寝ていた事で乱れた服装を整えてから、あたしはシャニの後を追って食堂へ向かった。
こうしてシャニの後ろを歩くと、歩幅の違いが感じられる。
「・・・あ」
「・・・どうかした?」
「あ、いや・・・オルガ、どうしてるかな・・・って」
「あれはオルガも悪かったんだし、が気にする事ないよ」
「そ、そうだけど・・・なんか、気まずい・・・じゃん?」
一緒にご飯食べるんだよ、一緒のテーブルで。そんなの、気まずいじゃん。気まずすぎて死んじゃうよ。
そう心の中で呟くと、シャニはそれを見抜いたかのように、ま、俺達も居るんだし大丈夫じゃない?と言ってくれた。
有り難かったけど、それでも気まずい事に変わりはなさそうだった。
こそこそとシャニの広い背中に隠れながら食堂へ入るあたしの光景はさぞかし奇怪なものだっただろう。
でも、良いさ。人目なんか気にしてらんない。
とにかくあたしは、先ほど思いっきり顔面をグーで殴ってしまったオルガに顔を見せるのが恐ろしかった。
・・・怒ってるかな。
・・・怒ってる、よね。普通は。
「・・・シャニがオルガの向かいに座ってね?」
「・・・なんで」
「だ、だってオルガの隣の席、クロトが座ってるもん・・・」
「がオルガの向かいの席座れば良いじゃん」
「だ、駄目、それだけは!気まずすぎる・・・!!」
小声でシャニとそのような会話をしながら、おずおずとあたしはテーブルへ向かった。
が向かいに座らなきゃ話しにくいんじゃないの、と文句を言いながらも優しいシャニは、気を使ってオルガの向かいに座ってくれた。
オルガと目を合わせる事すら気まずいと感じたあたしは、不自然ながらも気を紛らわす為にクロトのハンバーグに手を出して一つ奪った。
案の定クロトはぶつぶつ文句を言ったけれど、お陰であたしの気分は少しだけ和らいだ。
そこで、あたしは次の瞬間発せられた言葉に声を失う事になる。
「・・・さっきは、その・・・悪かったな」
その信じられない言葉に、あたしは思わず、えっ、今なんて言ったの、と返してしまった。
するとオルガは少し怒り口調で、悪かったなって言ってんだよ、一回で聞き取れ!と怒鳴ってきた。
それは怒ってるのか謝ってるのかよく分からなかったけれど、オルガの意外な行動にあたしは少し感動して、それ以上言うのを止めた。
「え、あ、いや・・・あ、あたしも思わずグーで殴っちゃって悪かった・・・と思う」
「ったく、お陰で未だに頬がヒリヒリするぜ」
「な、なに、あんた今あたしに謝ったんじゃないの!?」
ばん、と大きな音を立てて立ち上がると、あたしのそれに対抗してオルガも立ち上がる。
あたしとオルガの間には火花が散ってても可笑しくないような状態だった。
「ちょっと、何してんの二人とも。せっかく仲直りしたんだから止めたら?とばっちり喰うの僕達なんだから」
「俺達の身にもなって欲しい」
また文句をぶつけてくる二人に対して、あたしはごめん、と一言言ってまた座った。
オルガに関しては、今のはこいつが悪いんだよ、とか言って不機嫌面に戻る。
まったく、オルガってば素直じゃないんだからと言えば、オルガは間髪入れずに否定の言葉を返してくる。
そんな彼らしさが、あたしは好きだ。
喧嘩したって直ぐ仲直りが出来る。これって、すごく良い事だと思う。
「それより、。さっき取った僕のおかず返してよね」
「えっ、な、何の事かなあクロト君」
「ふざけないでよ!僕がハンバーグ好きだって知ってる癖に!」
「ごめんごめん。あたしも定食取ってくるから、何かおかずあげるね」
「・・・ハンバーグ」
「分かったから」
「・・・結局、は誰とでも喧嘩になるじゃねぇか」
「何か言った?オルガ」
「別になにも」
そう言ってあたしと目を合わせようとしないオルガにあたしは一発蹴りを入れてやった。
それに関してオルガは、てめー!とか言ってまた怒りだしたけど、あたしはそれが嬉しくてならなかった。
シャニは優しくて、クロトは可愛くて弟みたいな存在。
オルガは何でも言い合える友達。
ああ、幸せってこういう事を言うんだな、と改めて感じた。
幸せで、幸せで。
戦争なんか忘れてしまうぐらい。
「ヤキンドゥーエ攻防戦?」
四人で食事をしていると、唐突にその話題が出た。
さっきまで些細な幸せを直に感じていた為、一気に現実に引き戻された感があった。
あたしが、それ何?と聞くと、シャニがそれはあのザフト軍のジェネシスっていう兵器をもう撃たせないようにするの、と教えてくれた。
「な、なにそれ。シャニ達も出るの?」
「うん。あれ撃たれて、おっさんがかなり怒りまくってたし。それに出たくなくても、出なきゃいけないし・・・俺等」
「じゃ、じゃああたしもで出るよ!そんな・・・こと、三人だけに・・・」
「の機体は大損害受けてたじゃん、この前の戦闘で。それには今度から月基地に異動でしょ?」
「そんな損害受けてる機体で出られても、足手纏いになるだけだしな」
「そう・・・だけど。で、でも今は軍は酷い人材不足で・・・!!」
「だからこそ、は月基地に行って救援部隊になるんじゃないの」
確かに、あたしの機体はこの間もう使い物にならない位大損害を受けた。
だからそれの修養時間の間機体を失ったあたしは、酷い被害を受けた月基地へ救援部隊としての人事異動が決まった。
それは今の地球軍にとってはとても大切な事だって分かっていたから、あたしは認証した。
でも、三人が出るなんて聞いてない。
「や、やだ。また薬使うんでしょ?そんなの、駄目・・・」
「うっせぇな!薬の事はてめーに関係無ぇだろ!」
「・・・オルガ・・・」
オルガは何時も、薬の話になると途端に機嫌が悪くなる。
きっとそれは誰にも触れて欲しくない話題なんだろう。
でも、何時も傍で苦しんでいる彼等の姿を見ているあたしとしては、それはすごくもどかしい状況だった。
何時も何時も、どうしたら三人が苦しまずに済むかと思って。どうしたら三人を救えるかと思って。
あたしは三人が大好きだから、苦しんでる姿なんて見たくないだけなのに。
三人の幸せは、あたしの幸せでもあるから。
「・・・、聞いて?確かに俺達だってと離れるのは厭だ。でも、が救援部隊に移って、それが俺達を救うかもしれない」
「で、でも・・・!!確かに今は、何時誰が死んでも可笑しくない状況だけど・・・
でも、でも、どうせ死ぬなら最期までシャニ達と一緒に・・・!!」
「が死ぬことなんて考えないでよ。・・・僕達は死なないから」
「ほん・・・と、に・・・?クロト・・・」
「うん・・・だから、泣かないでよ」
あたしを宥めるクロトの傍らで、シャニは黙って指先であたしの頬を伝う涙を拭った。
そのシャニの行動が優しくて嬉しくて。
前線へ出ていた者が言っちゃいけない言葉だけど、もしあたしの前からこの三人が居なくなると考えたらもっと涙が出そうになった。
だって、ザフトにはあんな野蛮な兵器があるんだよ。地球軍は今とても不利なんだよ。
三人があたしの前から居なくなるなんて厭だ。
厭だ厭だ厭だ。
「あ、あたし、救援部隊で頑張るから・・・!だから、だから絶対死んじゃ駄目だよ・・・!?」
「・・・うん、約束するよ。この戦闘が終わったら、僕達は一番にに会いに行くから」
「絶対だよ!!・・・あたしも仕事が一段落ついたら、三人に会いに行くから・・・!!」
そう言ってあたしとシャニとクロトは指切りをした。
それが終わった後、二人は笑顔であたしの頭を撫でてくれて。
それがとても嬉しくて、また涙が零れそうだった。
「・・・オルガ」
「・・・なんだよ」
「あたしね、この戦争が終わったら、γ-グリフェプタンが無くても大丈夫なような・・・代わりになるようなものを調べる仕事に就こうと思うの」
「・・・」
「オルガ達が苦しまないで済むように・・・あたし、頑張るから。・・・だから、絶対・・・戻って来てね」
「・・・ああ」
「じゃあ、指切り」
「なんでだよ」
「だって、シャニもクロトもしてくれたもん。指切り」
初めは拒みながらも、最後にはオルガも渋々とあたしと指切りをしてくれた。
ゆーびきーりげーんまーん
うーそつーいたーら はーりせーんぼんのーます
「・・・指切った」
お互いの小指を離す。
あたしには、それが何だかなにかが切れてしまったように思えた。
「あ、あたしね・・・本当は、すごく厭なの・・・三人が苦しむ事も、三人が戦う事も・・・。可笑しい、よね・・・軍人、なのに・・・」
あはは、と笑いながら服の袖でごしごしと零れ落ちる涙を拭う。
過去形でも、仮にも前線に出ていた者がこんなに泣いてちゃ駄目だって。
だって、戦争してるんだよ。殺し合い。
お互いに殺して殺されて、あたし自身今まで数え切れないくらいこの手で人を殺めてきて。
それなのにこの人だけは死んでほしくないって、ああ、なんて矛盾した気持ち。
「・・・別に、可笑しくないと思う。・・・普通の人だったら、そういう感情持ってるよ」
シャニの言ったその言葉。
普通の人だったら、の部分が少し強調しているように思えた。
普通の人だったら。
あたしが軍に志願した理由は単調なものだった。
両親が目の前で殺されたから。
あの時は自分の両親を殺したザフトが憎くて憎くて、憎悪の気持ちに任せて戦っていた。
そこで良い成績を納めたあたしを見て、上司はあたしをこのドミニオンに移した。
あたしは、そこで同時期に入った彼ら三人と少し時間は掛かったけれど、溶け込む事が出来た。
オルガとは毎日口喧嘩のしっぱなしで、時々本を貸してもらったりした。
シャニには時々音楽の話を聞かせてもらったり、CDやMDを貸してもらったり、相談に乗ってもらったり。
クロトとは、まるで弟と遊ぶように一緒に格闘ゲームをしたり、弟扱いをして拗ねられたり。
中でも、同い年であるオルガとは他の二人とは違った感じで仲が良くなった。
でも、シャニやクロトもオルガと同じ位大切だった。
あたしは、そんな三人が大好きだった。
三人と一緒に居る内に、両親が殺されたという心の傷も少しだけ癒えた気がして。
日に日に少しずつだけど癒えていく傷を感じながら、あたしは再び何よりも大切な人達を手にしたと思った。
この三人はあたしの命に代えても死なせたくない、って。
同時に、あたしは両親を殺したザフトの事を思い出す。
あの頃はザフトが憎くて憎くて仕方がなかったけど、今はどうなんだろう。
あれはザフトが悪い?・・・違う。そうじゃない。
それは、この戦争が悪いんだって。いけないんだって。
そう思うようになった。
そんな事で悲しみは和らいだ気がしなかったけど、気の持ちようは変わった。
あたしはあの三人・・・大切な人を死なせない為に戦っている。きっとザフトもそう。
悪いのは、この戦争。
この戦争さえ無ければ、あたしが三人に会う事すら出来なかったものの、彼等が苦しむ事も無かったのに。
彼等は、普通の人間で、普通の生活を出来ていたのに。
そんな中、戦渦は確実に拡大していくばかりだった。
あたしも、オルガも、シャニも、クロトも、前よりもっとたくさんの人を殺さなければならない。
殺さなければ殺される。
薬の禁断症状で苦しむ彼等の姿は、それの表れかもしれない。
『・・・シャニ、あたし、怖い』
『どうしたの?』
『今更、だけど・・・あたしがこの手で殺した人達が毎晩毎晩、夢の中に現れてきて・・・すごく、怖いの』
『大丈夫?そう言えば、最近の顔色が悪い』
『なんだよー、夢如きでさー。って僕よりお子ちゃまじゃん』
『ば、馬鹿クロト!あたしはクロトより大人だもん!』
『あー、うるせーお前ら。お前ら二人とも、充分お子ちゃまだよ』
『・・・あ、あたし本当怖い。すごく魘されるの。もう、どうしたら良いか分かんなくて・・・!!』
『・・・じゃあ、は少し休みなよ。は、人を殺すのに抵抗があるんでしょ?』
『う、うん・・・』
『だったらそれは、俺達に任せれば良い。と違って、俺達は何が何でも成果を上げないといけないからさ』
『でも、それだったらシャニ達が・・・・』
『俺やオルガやクロトはさ・・・そういう事に全く抵抗が無いって言うか・・・。とにかく、まぁ、大丈夫だから』
薬も貰えないしね。
そういう事に全く抵抗が無い。
それって、人を殺す事に関して何も感じないという事。
イコール、いくらでも人は殺せるという事。
シャニ達が何時からそんな思想を持つようになったのかは分からない。
少なくとも、今まであたしが知っていた事ではない。
少し、悲しかった。
何でかは、よくは分からない。
でも、きっとシャニにそんな事は言ってほしくなかったんだと思う。
あたしはシャニに、人は殺さなくても大丈夫的な事を言ってほしかったんだ、きっと。
あれから、あたしは暫くの間前線に出る事を止めた。
バジルール艦長には大変な迷惑をかけたと思ったから、久しぶりの出撃はなるべく相手を傷付けない程度に頑張った。
すると、背後のザフト軍に気付かずに、あたしの機体は大部分を失った。
あたし自身が生きていた事が不思議に思えたほどの惨事だった。
久しぶりに体感した「死」を目の前にして、息を切らしたあたしを彼ら三人は心配してくれた。
うん、大丈夫、久しぶりだから感覚が掴めなかっただけなの、と言って、あたしはドミニオンに戻った。
『救援部隊・・・ですか?』
『ああ、そうだ。・・・見ても分かるように、現在我が軍は非常に大きな被害を受けている。
だから、せめて機体の修養期間だけでも少尉が救援部隊に移ってくれるととても有り難いのだが・・・』
『そうです・・・よね。・・・や、やらせて下さい、艦長!あたし、救援部隊に行きます』
『・・・そうか、なら話は早い。任務は急を要するから、今の内に簡単に荷物を纏めておけ』
『は、はい!』
バジルール艦長から言い渡されたのは、救援部隊への転属だった。
正直、あたしは少し迷った。
現状から見て、あたしは絶対に救援部隊へ向かった方が少しは助けになるだろう。そういうのは多いに超した事はないから。
だけど、それはドミニオンを去るという事。
あの三人とは別の場所で働くという事。
少し、揺らいだ。
けれど、公私混合はいけないって、小さい時からよく教わっていたから。
だから決意した。
「・・・じゃあ、あたし月基地・・・行って来るね」
簡単に纏めた荷物を右手に持ちながら、あたしの足は確実に出口へ向かう。
自分で決めた事なのに、どうしても気は此処に残ってしまう。
ずっと三人と一緒に居たいという気持ちが。
「うん。行ってらっしゃい」
「機体が直ったら、絶対此処に戻って来てよね?」
「そん時でも良いから、絶対本返せよ」
相変わらずの三人に少し安心する。
わあ、もう少し悲しんでくれたって良いんじゃないのと言いたかったけれど、それは嬉しさと悲しさが混じった微妙な気持ちで言えなかった。
そう言えば、あたしはまだ三人にそれぞれ何かを借りたままだ。
オルガには本。
シャニにはMD。
クロトにはゲーム。
全部、まだ読めてないし聴けてないしクリア出来ていない。
ずっと、終わるまで貸して貰おうと思っていたからだ。
「あの、本とかMDとかゲームとか・・・今度ドミニオンに戻って来た時に必ず返すね。その時には全部終わらせとくから・・・」
何をするにもとろいあたしは、未だに彼らに借りたものを最後まで読んだり聴いたりというのは出来ていない。
そういうものは、何度かする内に慣れてくるものなんだろう。そして、早くなる。
けど、あたしの場合そういった進歩は全くと言っていいほど見られない。
理由は口で説明するほどはよく分からない。でも感覚的になら分かる。
それらを返してしまったら、少し、ほんの少しだけど、彼らとの繋がりが減ってしまう。
こんな事を言ってしまえば、きっとオルガ辺りに馬鹿にされるだろう。
だから今まで言わなかった。いや、言えなかった。
この気持ちは恋みたいな可愛らしいものではないとは分かっている。きっと、それ以上に大切なもの。
この関係が一生続きますように。
戦争が終わってからも、ずっと。
「・・・あ、シャトルが来た。じゃあ・・・これで本当、ばいばい。今度会う時は、戦争が終わってからかもね」
「そうかもな。ま、精々お前はしぶとく生き残っとけよ?」
「あ、酷い。その言い方」
「、オルガは正直に言うのが恥ずかしいだけなんだって」
「てめー!なに言いやがんだ、クロト!!」
「うざーい」
「まぁまぁ、オルガの気持ちはよーく分かったから。嬉しいよ、正直。多分、あたしも同じ気持ち」
本当に、最後まで相変わらずだ。
まるで子供みたいに喧嘩ごしで言い合ってる彼らを見て、あたしは少し微笑む。
さっきまで胸の中を掻き回していた不安は、彼らのたったそれだけの言葉で和らぐ。
そこで改めてあたしは、三人にどれだけ救われたかを実感出来た。
本当に、掛け替えの無い存在で。
只、そこに居るだけであたしの傷を癒してくれて。
それで、あたしをどれだけ救ってくれたか。
でもあたしはそのお返しが出来なくてごめんね。
禁断症状に苦しむ彼等の傍に何時も居ながら、なにも出来なくて。
救ってあげる事も出来なくて。
ごめんね。・・・本当、何度謝っても足りないくらい。
ごめんね。
今度会った時は、絶対に三人を救ってあげるから。三人が幸せになれるように。
心の底から、そう思った。
「ばいばい。三人とも、あたしが居なくても仲良くやるんだよ?」
「あぁ?逆に居なくて済々するっつーの」
「が居なくなったら困るなー。オルガが五月蝿くてゲームに集中出来なくなるよ」
「良い喧嘩相手が居なくなって、その矛先が俺らに向いたら厭だしね」
「あたしって実は結構役に立ってたんだ?・・・なんか、嬉しいな」
オルガのストレス発散のためだけどね、とシャニが付け加える。
まぁ、そうだったのかもしれない。
あたしとオルガが喧嘩しなかった日なんて、皆無に近かったと思うから。
突然、頭上に柔らかな感覚が広がる。
見上げてみれば、そこにはあたしの頭を撫でているオルガが居た。
「・・・お、お前と居れて、それなりに楽しかったぜ。だから、その・・・死ぬなよ」
「こ、子供扱いしないでよ!オルガこそ、何時も危なっかしいんだから。死んじゃ駄目だよ!」
「お前、俺が負けるとでも言うのかよ」
「嘘だって。オルガは強いよ、うん。・・・じゃあね、あたしは君達が泣く前に去ってやるとするよ。三人とも、泣いちゃ駄目だよー」
「誰が泣くって言ってんの。こそ泣きそうじゃん」
「そうそう。の泣き虫には誰も敵わないって」
「あー、シャニ、クロト、それ言ってるそばから泣きそうだって。・・・うん、それじゃ、皆元気で。また会いましょう」
今度は、戦争の無い世界で。
本当は、長く居ればあたしが泣きそうだった。
泣き顔なんてもう見せるものか。
どうせ「うっわ、その顔超不細工」とか言われるのがオチなんだから。
三人に敬礼をして、あたしはドミニオンを去った。
機械的な音を立てて閉まるドアがあたしの視界を埋める。
遂に、もう顔を合わす事さえ不可能になった。
少し名残惜しくその場に佇んでいると、同じシャトルの搭乗員におい、何してんだ早く乗れ、と言われて慌てて飛び乗る。
ばいばい。
今までありがとう。
また、戦場じゃない何処かで会いましょう。
三人と会えて良かった。少なくともあたしはそう思っている。
彼らと喧嘩した日々が走馬灯のように駆け巡る。
また、何時か笑い合える日が来ると良いな。
喧嘩しても良いから。
三人と一緒に過ごせる日が。
シャトルに乗っていると、外の宇宙からは物凄い轟音が聞こえた。
同時に、無数の人の叫び声。
なに、これ。
とても厭な予感がする。
ジェネシスだ
また撃ちやがったのか!?宇宙の化け物め・・・!!
月本部は?大丈夫なのかよ!?
同じシャトルに乗っていた人達がぽつり、ぽつりと言い始める。
ジェネシス。
あの、野蛮な兵器。
また、撃たれたの?
その矛先は何処へ?
オルガは?クロトは?シャニは?三人とも、大丈夫なの?
ドミニオンは?バジルール艦長は?・・・アズラエルさん、は?
皆、大丈夫なの?
話しかける相手も居ず、あたしは心の中でそう呟いた。
途端に、忘れかけていた不安が蘇る。
言葉ではとても言い表せない不安。
悪い予感。厭な予感。
体中がざわざわとして気持ちが悪い。
なんだろう。
すごく不安で不安で。
無性に三人に会いたくなった。
撃たれたのは月本部だ
そんな馬鹿な!じゃあ、俺達は何処へ行けばいいんだよ!?
このままじゃ、このシャトルすら危ない
不安で胸が押し潰されそうな中、耳を澄ませばそんな会話が聞こえた。
さっきの轟音は、ジェネシス。
その矛先は月本部。
あたしがこれから向かおうとしていた月基地。
不謹慎ながらも、少し安心している自分が居た。
良かった、ドミニオンじゃなくて。
三人が無事で良かった。
そう思うだけで涙が零れそうになる自分を、少し叱咤した。
だって、今までそれで散々オルガに馬鹿にされてきたから。
泣き虫だって。お前本当に軍人?って聞かれた事もあった。
その言葉にカッときて、何度目か見当もつかない喧嘩をする。
その日からもう泣かないって決めたのに。やっぱり泣いてしまう自分が居て、悔しくて。
でも、そんな日々が、すごく懐かしかった。
生涯の宝物だった。
只管続いたシャトルの外からの轟音。
慣れてしまった。とても良い意味ではないけれど。
それでも、慣れた。
このシャトルだって何時流れ弾に当たって沈むか分からないのに、何故かあたしは平常心を保っていた。
体中からざわざわしてくる不安は、時間が経つにつれて薄れてくる。
皮肉だけど、これが現状。
荷物を傍らに置いて、脚を折り曲げて膝と膝の間に顔を埋める。
幾度なく続く搭乗員の不安げな声。
それにすら慣れを感じる。
今までどれだけ本を読んでもゲームをしても、慣れる事はなかったのに。
本を読むスピードなんか、早くならなかったのに。
なんでこういう事には慣れてしまうんだろう。
次の瞬間、あたしは自分の耳を疑う。
「 例 の 生 体 C P U の 三 機 、 堕 ち た っ て さ 」
嘘だと思った。
だって、それって。
あの三人が死んだって事?
感情を押し殺す事は出来なかった。
元々、ポーカーフェイスは上手い方ではなかったから。
気が付けば、その搭乗員の服を掴んで本能のままに行動を起こしていた。
「う、嘘!!嘘だ嘘だ嘘だ、そんなの!!あの三人が死ぬ筈ないじゃん!!何・・・言ってるの・・・!?」
半分は自分に言い聞かせるように吐いた言葉。
あたしに胸倉を掴まれた搭乗員は、いかにも苦しそうな顔をしていた。
でも、そんな事は気にしてられなかった。
だって、今、この人は。
言ったんだから。
「だ、だって、三人はあたしと約束したんだよ!?死なないって・・・約束、したんだから・・・!!」
冷静に考えれば、今は何時何処で誰が死んだって不思議ではない状況なのに。
あたしは、その事を冷静に考えられる頭と余裕を持っていなかったから。
只、目の前の人が告げる現実と、それを否定したい気持ちしか無い。
否定する事しか出来ない。
じゃないと、あたし自身が今にも壊れてしまいそうで。
「指切りも・・・したのに・・・・・っ!!」
ゆーびきーりげーんまーん
うーそつーいたーら はーりせーんぼんのーます
指切った
シャニも、クロトも、最後にはオルガも、あたしときちんと指切りをしてくれて。
死なないって、約束をして。
そして、指を切ったのに。
頭も撫でてくれた。
それから三人は戦場へ行ったのに。
涙は不思議と出てこなかった。
普段泣き虫の癖して、肝心な時に泣けない。
それはきっと、目の前の現実を認める事が出来ないからだろう。
あたしの心はずっとそれを否定している。
涙なんて流れない。
だって、彼らは死んでないんだから。
あたしと約束、したんだから。
また会いましょう、って、言ったんだから。
「・・・いい加減、現実を見ろ」
「・・・・・・!!」
他の搭乗員からの言葉に、はっと我に返る。
現実を見ろ、って。
それって、三人の死を認めろという事?
「例の生体CPUは三機とも堕ちたんだ。・・・ドミニオンも、沈んだ」
「ドミニオン・・・が・・・・・!?」
次々と告げられていく事実。
三人が死んで。
ドミニオンも沈んで。
バジルール艦長も、死んだ?
アズラエルさんも?
あたしの、帰る場所は?
「い、いやぁぁぁ!!そんなの・・・そんなの嘘!!皆が死ぬ筈ない・・・!!」
あたしはその場にへたり込んだ。
両手で顔面を押さえて、自身を保つ事に必死だった。
段々と我を失っていくあたしを他の搭乗員は静かに見つめる。
体中の震えが止まらない。
助けて、助けて。
あたし、今にも壊れてしまいそうだよ。
あまりにも重い現実を一気に頭に叩き込まれてしまって。
頭が、痛いよ。
・・・オルガ、クロト、シャニ・・・。
外は相変わらずの轟音が響いていた。
慣れた筈の轟音が、今は自棄に耳に届く。
慣れ。
あたしは結局本を読む事もゲームをクリアする事も早くなれなくて。
三人に借りたままの本やMDやゲームが、今も傍らに置いてある鞄の中に入っている。
まだ、返せてない。
三人に何も返せてない。
あたしは三人に沢山救ってもらえたのに。
あたしは、彼等に何一つ返せてなかった。
何時も傍に居た癖に、彼らを救う事も出来なかった。
「ごめん・・・・・ごめんね・・・・・!!」
滝のように涙は流れた。
それこそ止まる事を知らない滝のように流れる涙を、手の甲で拭う。
今は謝罪の言葉しか出てこない。
同じ場所で同じ時間を過ごした彼等。
心身ともにぼろぼろだったあたしの傷を癒して、救ってくれた彼等。
再び手にしたかけがえの無い存在の彼等。
あたしが、救ってあげる事が出来なかった彼等。
「痛いのに・・・苦しいのに・・・助けてあげられなくて、ごめんね・・・・!!」
あたしは、あたしを救ってくれた三人を助けたかった。
薬の禁断症状に苦しむ彼等を救ってあげたかった。
何時も、側で苦しむ姿を見ながら何も出来なくて、ただ苦しくて。
でも、本当に苦しかったのは三人なのに。
その痛みや苦しみを、共感してあげる事も出来なかった。
あたしの存在理由って何だった?
ただ、三人に幸せを感じて貰いたくて。
でもそれは出来なくて。
三人の幸せは、こんな形でしか掴めなかったの?
薬の禁断症状から解放されるには、こんな方法しか無かったの?
「・・・ごめん、ね・・・・」
『お前、俺が負けるとでも言うのかよ』
『が死ぬことなんて考えないでよ。・・・僕達は死なないから』
『誰が泣くって言ってんの。こそ泣きそうじゃん』
三人と交わした会話が、遠い夏の日のように思えた。
もし、出逢った場所が戦場じゃなければ。
戦争の無い世界だったなら。
三人は、幸せになれた?
禁断症状に苦しむ事もなく、普通に暮らして。
結局、あたしは彼等を救えなかったんだ。
借りたものすら返せないまま、与えられっぱなしで。
あたしは、三人の光になる事が出来なかったんだ。
あたしの存在理由なんか、無かった。
「シャニ・・・オルガ・・・クロトぉ・・・・っ!!!」
泣いたら三人が戻ってくれば良いのに。
三人の代わりにあたしが死んだら良かったのに。
・・・戦争なんて、無ければ。
「あ・・・あたし、生きていけない・・・!!三人が居ないと・・・あたし・・・!!」
気が付いたら、とても大きな存在になっていたんだ。
目には見えなくても、あたしにとってとても大きな大切な。
彼等無しで生きていく術を、あたしは知らない。
「どうしたら・・・いいの・・・っ!?皆、居ないのに・・・どうしたら・・・」
涙を手の甲で拭いて顔を上げれば、そこには実態の無い三人の姿。
この戦闘が終わったら、僕達は一番にに会いに行くから
そう言ったクロトの言葉を思い出す。
ああ、これは夢だ。幻だ。
だって、三人は死んだんだもんね。目の前に居る筈がないもん。
それでも、三人はちゃんとあの約束を果たしに来てくれたんだ。
「・・・っ、戻って来てよぉ・・・三人とも・・・・!!」
あたしがそう言って涙を流すと、オルガは馬っ鹿じゃねーの、と悪態を吐いた。
クロトは、いい加減泣き止めたら、と少し溜め息混じりに。
シャニはそんなあたしに何も言わず優しく手を差し伸べてくれて。
夢なんて、覚めなければ。
そしたら、あたしはずっと三人の傍に居れるのに。
お前なぁ、泣かれるとこっちだって困るんだよ
だって泣いてると凄い顔だし
なんか何時も宥め役が俺だし・・・
三人の声が。
確かに、聞こえたんだ。
「・・・悲しいんだから、泣いたって・・良いじゃない・・・!三人が、死んじゃうから・・・!!」
あぁ!?俺達のせいかよ?
人に当たるの良くないねー
それ、の悪い癖
「・・・っ死なないって、言ったのに・・・!!」
あたしがそう言うと、夢の中の三人は少し困ったような顔をする。
彼等の笑った顔が好きだったあたしにとっては、それは嬉しい事じゃない。
でも、それでも溢れ出す涙は止まらなくて。
皮肉にも、こういう時にやっぱり人間なんだ、と感じる。
人間だ。
あたしも、オルガも、クロトも、シャニも。
皆、人間なんだ。
悲しい時には泣けて、楽しい時には笑える、人間。
なら、あの三人が苦しんで苦しんで、死ぬ事も無かった筈なのに。
人間である事を捨てられて、只戦うためだけに生かされていた彼等。
幸福、だった?
「なんで皆死んじゃうんだよぉ・・・っ!!馬鹿ぁ・・・!!」
それは心からの言葉だった。
彼等には、まだ人間に戻れて、幸せになれる権利だってあったのに。
そんな権利を、奪われた。
戦争に。
「うっ・・・・・うわああああああああんっ!!」
涙で視界が薄れていく中、夢の中の三人の姿も薄れていったように思えた。
ああ、これで本当にもう会えない。姿すら見れない。
言いたい事はまだたくさんあるのに。
厭だ。行かないで。
あたしを置いて行かないでよ。
に会えて、幸せだった
消えていく寸前、彼等はあたしにこう告げた。
はっと前を見ると、そこには三人の姿は無かった。
でも、聞いた。彼等の言葉を、確かに。
幸せ、だった?
あたしの存在理由はあったって思っても良いの?
未だに轟音が響く中、あたしは静かに泣いた。
生きてて欲しかったんだよ。
あの体温を、もう一度感じたかったの。
ごめんなさい。
救いたかったとかよりも、あたしは、本当は。
本当は、ずっと三人の側に居たかっただけなんです。
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あとがき(言い訳)
今更ながら追悼夢ですが、三人とも、本当に大好きでした・・・!
薬に縛られて、それ無しでは生きていけない人間でも彼等なりの幸せというものがあったら良いと思います。
三人の来世には幸福が待っていて欲しいです。
今思い出すだけでもほろりときます、本当に本当に大好きでした。これからも大好きです。
本当、お疲れ様でした・・・!
彼等の冥福を心よりお祈りします。
盟主様もナタルさんも、お疲れ様でした。有難うございました。
盟主様は彼なりの正義で守ろうとした結果なのだと思います。
何時までも皆大好きです。
天国ではどうかお幸せに。これからも仲良くね。
どうか、安らかに。