今日のあたしはウキウキ気分。

それは久しぶりに恋人に会える日だから。

今日だけなら、あたしは何を言われようが何をされようが何でも許せそうな気がした。



早く、早く。あたしに会いに来て、エド。





































                               幸せ不幸は紙一重




































「何だ、今日はやけに元気がいいな少尉」

「あ、分かります?大佐」

「分からん者はいないと思うがね」

「今日はとにかく嬉しい日なんですよ」

「はて・・・今日私は君に何か喜ばれる事でもしたかな?」

「やだなー何言ってんですか大佐!そんなワケないじゃないですか!」

「・・・・じゃあ何なのだ」

「今日はですねえ」

「ああ」

「エドが会いに来るんですよ!あたしに!」

「鋼のが?」

「はいv」



やっぱり嬉しい事って誰かに言ったらもっと嬉しくなるじゃない。
だからあたしはこの事をハボック少尉にも自慢してやろうと思って彼の元へ行った。


「仕事はどうだね、ハボック少尉」

「・・・・変な喋り方は止めろよ少尉」

「ふっふっふ〜♪今日のあたしはすっごく気分がいいのよ!だから手伝ってあげよっか?」

「おっマジで!?サンキュー」

「その代わり!あたしの自慢話聞いてくれる?」

「聞く聞く!だからさっさと手伝ってくれ」

「手伝う前に聞いて!ってか聞け!!」

「・・・はい・・・・」

「今日はねー、あたしの彼氏があたしに会いに来るの!!」

「・・・お前の恋人って言ったらエドか?」

「あったりー!会うのめちゃくちゃ久しぶりなんだよ!?だからすっごい楽しみ!!」

「ほー、それはよかったな」

「でしょ!?しかも来る前にまた電話くれるって言ってくれたのよ!?もー、なんていい子なのかしら!」

「それは突然会いに来てお前を驚かせたら後が怖いからだろ?」

「失礼な!生憎エドはそんな子じゃないわよ!」

「へいへい。そろそろ俺の仕事を手伝う気になったか?」

「もー、仕方ないから手伝ってあげるわよ」

「お前から言ったんだろうが」

「そんなの気にしない気にしない」



エドが来るまでの間、あたしは他の人達に気持ち悪がられるほどににこにこしていた。

それなのに。




がハボック少尉の仕事を手伝って、一休みしている所、そこにロイ・マスタング大佐がやって来た。

少尉」

「何ですか大佐」

「鋼のから電話がかかってきているぞ」

「え!?マジですか!?すぐ行きます!!」


は大佐からの報告を受けるとすぐに電話を代わりに走って行った。


「もしもし、エド!?」

?』

「うん、です!!」

『・・・どしたの?息荒いぜ?』

「そ、それは走って来たからで・・・・はぁ・・はぁ・・・」

『だ・・・大丈夫か?』

「全然、大丈夫!」

『ならいいけど・・・あのさ、オレ、今日・・・』

「え、今から来れるの!?」

『じゃなくって・・・行けなくなった』

「・・・・・・・・・・・・・・・は?」

『マジでごめん!今日急用が出来て行けなくなったんだ・・』

「・・・そんな・・・」

『本当ごめん・・・また今度行・・・』

「・・・・・・カ・・・」

『え?』

「エドのバカーーーーーーーーーーーーーッ!!!」

『な・・・・バカだと!?』

「そうよ、バカよ!それにチビ!」

『お前・・・黙って聞いてれば好き勝手言いやがって・・・』

「何よ・・・エドはあたしが今日どれだけ会えるのを楽しみにしてたか分かってんの!?」

『・・・・・・!』

「もうエドなんて知らない!あたし大佐とラブラブになってやるんだから!!」

『お、おいちょっ・・・・』



ガチャンッ。


「・・・鋼のと何かあったのか、少尉?」

「・・・言いすぎちゃった・・・」

「は?」

「あたしエドに言いすぎちゃった・・・」



よく思ったらエドだって賢者の石を探す旅で大変で、あたしに会う為に今回時間を作ってくれたのに。
途中で急用が出来るのだっておかしくなんかない。

それなのにあたしは・・・。



「それにしても『あたし大佐とラブラブになってやるんだから!!』発言には流石の私も吃驚したな・・。
どうだ、今夜私の部屋に来ないか少尉?」

「そんなの絶対ヤですよ(即答)」

「・・・・・・今のはちょっと・・・キズついたぞ」

「だって大佐は心の中で何考えてるか分かんないですし」

「私はやましい事などこれっぽっちも考えてはおらん!」

「そこでそーゆー発想に行くの自体やましいです」

「・・・・・・・・・・・・」















ブルーな気分のままは仕事を終え、彼女のアパートに戻った。

そして疲れが溜まっていたのか一気にベッドに横になる。


「はぁ・・・・エドのバカ・・・・」




独り言を言う自分に妙に悲しくなる。

エドに会いたい。
今はただその一心だけだった。


ピンポーン。


誰だ、こんな時間に。

はそう思いながら玄関へ向かった。


「・・・・?」

「え・・・・・!」


玄関でした声。
それはまさしく彼女の一番聞きたかった、エドの声だった。


「エド・・・!?何で・・・今日は来れないハズじゃ・・・」

「いいから開けろ。折角来たんだから」

「う、うん」


ガチャッとはドアを開けた。
するとそこには愛しい恋人の姿。


「エド・・・」

「・・・今日はな」

「え?」

「今日はの誕生日だろ」

「え!?そうだっけ・・?」

「そうだよ!お前自分の誕生日くらい憶えとけよな!」

「ご、ごめん!最近忙しくって・・・」

「だから、はい」

「ん?」


エドが差し出したのは、花束とケーキだった。


「え・・・くれるの?」

「貰ってくれなきゃどうすんだよ」

「あ、ありがとう・・・!」

「今日」

「今日?」

「今日はずっとの誕生日プレゼントを考えてて・・・それで気がついたら最終列車がもう行ってて・・・」

「そ、そうだったの!?」

「そうだよ!それでお前が大佐とラブラブになるとか言うから・・・」

「ご、ごめん!あたしエドの気持ちも知らないで・・・」

「・・・・オレも悪かったけど」

「ううん・・・エドは悪くない。それより上がっていって?エドがくれたケーキ食べなきゃ」

「おう」


台所に立ったは、包丁でケーキを綺麗に切って自分の分とエドの分とを分けた。


「はい、エドの分。エドの背が伸びるように大きいのにしてあげたよ(笑)」

「うるせー」

「・・・にしても幸せだなぁあたし」

「何かあったのか?」

「いや・・・自分の誕生日に好きな人に祝ってもらってさ」

「・・・・・・・・・・」

「・・・・どうかした?」

「・・・・

「ん?」

「ヤらせて」

「・・・・・・・・・・・いいよ」






久々に繋がった二人は、お互いの存在を確かめ合う。

また、離れ離れになるけど。
でも、次に会う時はエドの右手と左足とアルを元に戻して。

そして、今度こそどこにも行かないで。






++++++++++++++++++++++++++++++
あとがき(言い訳)

初の鋼夢・・・そんで初のエド夢・・。
微妙でごめんなさい。エドの喋り方、相手が年上女性だと分からんのです。
最初はギャグっぽく、最後は甘くシリアス。
私が書くとどうもそんな感じになってしまいます。力不足。




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