02*嫉妬心



























総悟と話しているを見て胸が痛くなるのは、それは彼女に対する恋心だと知ったのは最近の事。



彼女が総悟と付き合っているという事を知ったのは結構前の事。



お似合いな二人だ、と思いながら灰皿に煙草をねじり込んだ。





「あっ、土方さん!」

「あ?・・・か」

「あの、この書類この前の窃盗犯のものなんですけど・・・」

「その辺に置いといてくれ」

「はい、分かりました!」




台風のように、来た途端にまた去っていくの後ろ姿を見届けた後、俺は彼女の持ってきた窃盗犯の書類を手に取った。


胸のポケットの中の煙草に手をかけ、一本取り出して火をつける。

部屋の中はすぐに煙が漂った。







「土方さーん、入りますぜィ」


ノックもせずに部屋に入ってきたのは総悟。

手にはアイマスク。




「・・・おい、もしかしなくてもお前は寝る為に此処に来たのか?」

「やだなぁ土方さん。寝るんじゃなくて体力回復ですぜ」

「同じだろうが」

「同じじゃないですよ」




言ってアイマスクを目に被せて寝転ぶ総悟を見て見ぬふりをした。

今は何を言っても意味が無いだろう。



「お前寝るって事は仕事終わったんだろうな?」

「当たり前じゃないですかィ。俺は土方さんじゃないですよ」

「ああん?何か言ったかコラ!!」

「・・・zzz」

「・・・・・」




相変わらず寝るのだけは何処の誰よりも早かった。


俺は再び書類に目を落とし手を進めていく。

と、遠くから部屋へ向かう足音。




「・・・総悟君!!」

「・・・どうしたんだ

「あ、す、すいません土方さん!総悟君此方に来ませんでした?」

「総悟なら其処で寝てるぜ」

「ああもうまったく・・・」




足音の主は先ほど部屋を出て行ったのものだった。

彼女はどうやら総悟を探してたらしかった。
胸が。痛い。




「総悟が起きるまで其処に座ってろよ。どうせすぐ起きるだろ」

「で、でも土方さんの仕事の邪魔に・・・」

「ああ、大丈夫だ気にすんな」

「あ、じゃあ失礼しますね」




は俺の向かいのソファに座ってふう、とため息を吐いた。

彼女が少し息を切らして汗を掻いているのを見たら、総悟を探す為に走り回っていたんだと分かった。




「総悟に用があったのか?」

「あ、まぁ、はい・・・」

「ったくあいつ俺の仕事部屋を仮眠室代わりに使いやがって」

「す、すいません・・・!」

「なんでが謝るんだよ」

「あ、なんとなく・・・」

「・・・・・」




なんでが謝るのか。

それは総悟の彼女だから。
そうだろう?




「お前総悟と仲良くやってるか?」

「えっ?」



いきなり中年の親父染みた俺の質問には一瞬驚いたようだった。

まぁ今のは俺の質問の仕方が悪い。




「お前ら付き合って結構経つだろ?」

「あ、そうですね・・・はい。何だかんだ言って仲良くやってると思いますよ」

「・・・そうか」

「土方さん?」

「それにしてもお前総悟相手に良く続くな」

「総悟君は優しいですから。仕事はサボり気味ですけどね・・・」




総悟の事を話している時のは本当に嬉しそうだった。


俺自身彼女の笑顔は好きだった。

だけど、この笑顔は。



胸が痛む笑顔。





「仕事サボられたらこっちはたまんねぇな」

「あ、でもその分あたし頑張りますのでどうか怒らないであげて下さい・・・」

「・・・そんなに好きなのか?」

「はい・・・大好きです」




なんでそんな好きなんだか。

俺が無意識にムッとしたような表情をしたら、案の定は戸惑った。




「あ、あの、あたし何かお気に触る事でも言いましたか・・?」

「・・・別に何でもねぇよ。気にすんな」




総悟の事を話すと顔を赤らめる。
総悟の事を話すと照れながらも嬉しそうにする。
総悟の事を話す彼女は笑顔。
屈託のない。

それだけで、俺がが総悟にベタ惚れしていると言う事を分からせるのは充分すぎた。



少し恥らう姿を見て可愛いな、と思ってもそれは総悟に向けられていて。


其れが自分に向く事は決して、無い。




「・・・本当、お前は罪作りな女だよ」

「・・・え、あたし、ですか?」

「当たり前だ」

「び、吃驚したー・・・いきなり土方さんが親父臭い事言うもんですから」

「お前喧嘩売ってんのか」

「そんな自殺行為、総悟君以外しないと思いますけど・・・」




俺がさっきの窃盗犯の書類を見ながら手を動かしていくと、も口を動かした。


「あ、その窃盗犯、実はあたしも狙われたんです」

「マジかよ」

「はい。家に帰ったらもう無茶苦茶で・・・」

「お前馬鹿力だから投げ飛ばしただろ」

「何言ってんですか。あたし恐くて隠れて真選組に電話しましたよ」

「ああ、あの時の電話は其れか」



が窃盗犯に狙われてたなんて知らない。

なんでコイツは俺に言わなかったんだ。



「あー、、総悟を起こしてさっさとどっか行け」

「あ、分かりました。総悟くーん、起ーきーてー」


が総悟に呼びかけても起きる気配全く無し。
相変わらず奴は夢の中。

まあ、総悟が呼びかけだけで起きるような奴じゃないのは分かっていたが。




「総悟く・・・んっ!?」

「・・・さんおはようございます」


の声が途切れたのでなにが起こってるのかと思って見てみると、
総悟が彼女の首に手を回し。

口付けをしていた。


苛々する。


「・・・おい、総悟」

「あ、土方さん。見てたんですかィ?やらしー」

「イチャつくんなら他の部屋でしろ。頼むから俺の前でするな」



見たくないからな。

付け足すのは止めた。


俺が言うと総悟はアイマスクを取り外し、部屋を出て行こうとした。



「・・・おい、総悟」

「はい?」

「・・・何でもねぇよ。さっさと戻れ」




苛々するのは、嫉妬心。

総悟に対する嫉妬心だと気付いたのは、たった今。

































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あとがき(言い訳)

不完全燃焼。
これ総悟君夢とは言えないですむしろ土方さんです
半土方さん夢ではなく八割土方さん夢です いや、もっとか?
土方さんの片想いです。

























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